火入れ

【English】
Pasteurization (low-temperature sterilization)

火入れとは、清酒を加熱し微生物を殺菌すると共に、清酒中のアミラーゼやプロテアーゼなどの残存酵素を失活させることで、清酒の保存性を高めるために行う操作である。また、火入れ後貯蔵することにより、新酒独特の荒々しさ等が消失し、貯蔵中の温度管理と併せて熟度を調節し香味を整える。

通常、上槽ろ過した新酒を62~68℃に加熱し、貯蔵タンクへ送り密閉貯蔵する。その後、約1時間程度温度保持したのち速やかにシャワーや冷却ジャケットにより冷却する。この操作はPasteurがぶどう酒の保存性を高めるため発見した、いわゆる低温殺菌法と同一であるが、わが国ではすでにその約300年前の1560年頃よりこの手法が行われてきた。清酒があるところには、火落菌が必ず生息していることを頭に入れ、機械器具の洗浄殺菌はもちろんのこと、操作上温度低下が見られる箇所に注意し加熱不足がないようにしなければならない。

火入れの際、消費した蒸気の全熱量に対する酒の吸収した全熱量の比を%で表した値を熱効率としている。プレートヒーターの方が蛇管より熱効率が良く、蛇管69.7%、プレートヒーター92%の数値が報告されている。