火落ち・火落菌

【English】
Bacterial spoilage of sake (by hi-ochi lactic acid bacteria); hi-ochi lactic acid bacteria

清酒に火落菌と言われる特殊な乳酸菌が繁殖することを火落ちという。清酒は白濁し、一般に酸の生成、特異臭(火落臭)の発生を伴い飲用にたえなくなる。菌の種類によりそれらの程度は異なり、酸は生成するが香りの変化の少ない場合とか、酸の生成は少ないが香りの変化の激しい場合等さまざまな様相を示す。

大多数の市販酒はアルコール分が15%程度で、このようなアルコール濃度中では一般の細菌は生育できない。しかし火落菌はアルコール耐性が強く清酒中で容易に増殖し得る特殊な乳酸菌で、その生育最適温度は28~30℃である。

火落菌は発酵形式によりヘテロ型とホモ型に分けられ、さらに生育時にメバロン酸の要求性の有無により真性火落菌と火落性乳酸菌とに分類されてい。その後ホモ型真性火落菌の中にもメバロン酸非要求の菌株が見出されている。

アルコール耐性の順位は、①ホモ型真性火落菌、②ヘテロ型真性火落菌、③火落性乳酸菌となっており、ホモ型真性火落菌では25%程度のアルコール濃度下でも生育可能なものがある。

火落菌桿菌

火落菌桿菌