宮水
- 【English】
- Famous brewing water from Nishinomiya.
宮水は灘酒の名声を全国に広めた要因の1つで、西宮市内の特定の地下からくみ上げられている井戸水のことをいう。
関白一条兼良が随筆集「尺素往来」の中で「西宮の旨酒」と賞賛していることから、15世紀頃より西宮では良質の酒が醸造されていた。しかし、宮水が酒造用水として広く知られるようになったのは、山邑太左衛門の功績によるものが大きい。
山邑家は当時(江戸時代末期;1800~1870年頃)西宮郷と魚崎郷で酒を醸造しており、常に西宮郷の酒が品質的に優れている事に気づいていた。米や杜氏を変えても西宮郷の優位は変わらなかった。そこで西宮郷の梅の木蔵の井戸水を魚崎郷で用いたところ、西宮の酒と同様の良酒が醸造された。このことより1840年から本格的に梅の木蔵の井戸水を魚崎に輸送し仕込水として使用する事で良質な酒が造られた。このお酒は江戸の市場でも大好評となり、灘や他地方の酒造家も競って西宮の水を使うようになった。これが、宮水の起源である。この梅の木井戸が宮水発祥の井戸となり、山邑太左衛門が発見者とされている。
また、この時代から宮水井戸を持たない酒造家に井戸水を売る水屋というこの地方独特の商売が起こり、自然の井戸水が商品として売買されていた。この井戸水は最初「西宮の水」と呼ばれていたが、略されて「宮水」となったといわれている。
宮水は発見当時、港に近い海岸部に存在していたが、現在は北部に移動しており、各社が一致協力して宮水保全に努めているため水量、水質とも安定している。