醸造アルコール・アルコール添加(アル添)

【English】
Brewer’s alcohol; (process of) alcohol addition

日本の酒税法では、清酒副原料の一つとして精製されたアルコールを使用することを認めている。使える量は、他の副原料を含めた合計として米(米麹を含む)の重量の100分の50以下に制限されている。さらに、国税庁通達の承認基準により、製造場が年間使用する白米1000kgにつき280リットル(アルコール分100度に換算したもの)の範囲内に制限されている。

第2次大戦中、清酒に使用する原料米が不足したので1942年にアルコールの使用が認められた。普通は、上槽前の1~2日前にアルコールを添加する。このことをアルコール添加、またはアル添という。アル添により味は淡麗となり、アルコール度が上がって火落ちに対する抵抗性も高まる。江戸時代にも、火落ち対策としてアル添(当時は柱焼酎と呼ばれた)が行われていた。

現在でも、アル添は多くの酒造工場で採用されている。日本国内で流通する市販酒の80%以上はアル添酒であり、全国新酒鑑評会に出品される吟醸酒の90%はアル添酒である(2012年度の実績)。

アルコール添加用の醸造アルコールは、トウモロコシやサツマイモなどのでんぷん質物を糖化したものやサトウキビの廃糖蜜などを発酵させ、精留塔で連続蒸留して得られる95%のエチルアルコールである。現在では海外より粗留アルコールで輸入し、これを国内で蒸留精製して出荷されることが多い。