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Iron

鉄を含む水を醸造用水として用いることは禁物である。鉄は麹菌が生産するフェリクローム類と結合して異常着色を起こしたり、アミノカルボニル反応を促進し香味の低下を招くなどの品質劣化が生じるためである。

河川水や浅井戸の水のように空気からよく酸素が供給されて酸化状態にある中性の水では、鉄は不溶解性の水酸化第二鉄として存在しているものと考えられ、天然水中には1~3ppmの鉄を含むことが多く、まれに100ppm以上含まれる場合もある。

醸造用水としての鉄の許容量は0.02ppm以下に抑える必要があり、用水中の鉄含量が高い場合は鉄を除去させるために矯正を行う。宮水の鉄含量は不検出か0.01ppm以下であり、きわめて優れた醸造用水である。

鉄の分析については水中の鉄の形態が変化しやすいので、採取後速やかに分析をする必要ある。分析方法には原子吸光法や比色法があるが、試料の前処理方法によって定量値の内容が異なるので目的に応じた方法を選ばなければならない。