つわり香・ダイアセチル臭
清酒 醪で酵母の増殖が遅れたとき、乳酸菌などの細菌類が異常に増殖したとき、清酒が火落ちしたときに生じるヨーグルト様の香りである。香りの本体はジアセチル・揮発酸などである。火落香と大体同系統の臭気であるが、火落香は製品の貯蔵中または瓶詰製品として出荷中に火落菌によって生じた香りをいうのに対して、つわり香は醸造工程中に細菌が異常繁殖して生じる香りをいう。
酢酸菌によって起こるときは、酢酸臭が感じられ、清酒醪醸造中最も嫌われる香りである。ただ、生酛系酒母製造初期(仕込後5~6日目)に麹香が薄れて甘香となりわずかにつわり香を生じるが、この時期が初めて暖気(だき・酒母の品温上昇をはかるため、湯をつめて酒母の中へ入れる容器)を入れる最適期でもある。
また、若い醪に醸造アルコールを添加して急に発酵を停止させたり、アルコール添加後ただちに醪を濾すとつわり香が出ることがあるともいわれている。
従来、ジアセチル臭は、不快臭と考えられてきたが、ヨーグルトを想起させる香気でもあることから、管理されていれば不快臭でなく、清酒の特徴香の一つとして見直す考えもある。