醪
タンクに 酒母(酵母仕込みでは酵母)、蒸米、麹、水を仕込み、その後発酵している状態を「醪」という。仕込直後は流動性がなく膨れた米飯のような状態であるが、糖化が進むと流動性を帯びてゆっくり対流を始める。対流が始まった状態を「醪が返った」などという。
醪初期は、流動性があるものの比重が重く、とろみと甘みがあるが、発酵が進むにつれて比重が軽くなり、とろみと甘みがなくなってくる。このため、発酵の進み具合を比重の変化や甘みの変化で推し量ることができる。
醪が熟成すると醪の比重は水か水より軽い状態となり、液状も水のようにとろみがなくなる。味も、甘さよりアルコールによる辛さを強く感じるようになる。熟成した醪を搾る(上槽する)ことで清酒と酒粕になる。
搾らない醪を「どぶろく」または「醪酒」と称し、かつては、酒蔵だけでなく、各家庭・農家などでも製造され、飲酒されていた。しかし明治年間(1868~1911年)に入ると、酒造税(1940年以後、酒税)が制定され、やがてどぶろくの自家醸造は禁止された。