麹室(室)・製麹室
麹を製造する場所、部屋のことを麹室または単に室いう。清酒は主として寒い時期に醸造するが、麹菌の発育温度が高い(30℃~40℃)上、適度な湿度を要するため、麹造りには外気と遮断した部屋(室)が必要となる。麹室には以下の条件が必要である。
①保温が充分できること。
②適当な面積を有すること。
③換気通風を行いやすいこと。
④室内が湿気で結露しないこと。
麹室の所要面積は製麹方法により異なる。蒸米を麹室または製麹機に入れることを「引込み」または「取込み」というが、1m2当たりの引込量は蓋麹法で7~8kg、箱麹法で10~11kg、簡易型の機械製麹機を使用すると13~20kgの引きこみが可能で、麹の最大引込量より所要面積を求めることができる。また麹室の形は作業の都合上やや長方形に作られており、天井の高さは2.0~2.2mが普通である。
麹室の構造は、下図のように中央に長方形の床(とこ)を置き、入口側の壁面を除く三面の壁に棚(たな)を設置するものが一般的である。また換気のための天窓を天井に有する。天窓は通常2個か4個で天井部分に引き戸を設けて空気の出入りを加減する。
密閉型の自動製麹機で麹を作る場合は、上記のような条件は不要であり、麹室とは言わず、製麹室と呼ばれることが多い。衛生的な環境を維持するために定期的な清掃が欠かせない場所である。