山廃・山卸廃止酛

【English】
Yamahai; yamahai yeast starter

山卸し(酛摺り)を廃止した酒母育成法で、1909年に嘉儀らによって行われた。山卸しとは、生酛育成工程で仕込み後10~12時間経過した頃、半切桶に仕込んだ原料をかぶらですりつぶす、もしくは足で踏んでつぶす操作をいい、前者を荒摺り、後者を荒踏みともいう。

その約4時間後、さらに4時間後には再びすりつぶすが、これを二番摺り、三番摺りという。蒸米の硬軟にもよるが、三番摺りまで行うのが普通であるが、非常に重労働である。なお酛摺りは3人ひと組で行い、拍子をそろえたり作業時間を規定したりするため、酛すり唄を斉唱しつつ行う

山廃酛は、半切桶を使用せず酛卸桶で水麹を行った3時間後に、生酛とほとんど同様に処理した蒸米を投入して仕込みを完了する。酛摺りの代わりに櫂入れまたは汲掛け(酒母に円筒形の枠を入れ内側に滲み出てきた液を枠の外に戻す作業)操作を行う点が生酛と異なる。

山廃酒母は生酛に比べ作業面積が少なくてすみ、作業も省力化されて利点は大きい。地方では従来生酛の省力型酒母として広く採用されていた。近年の一時期はさらに省力化が進み、山廃酛を採用している会社は減少したが、最近また増加の傾向がみられる。

山廃