山田錦

【English】
Yamada Nishiki (brewer’s rice variety)

日本の酒米の代表として酒と共に育ってきた最良の酒米品種である。酒造家が最高の酒を造るための原料として使われている。全国新酒鑑評会に出品される酒の84%は山田錦を原料米として醸造され、そのうち82%が兵庫県産の山田錦を使用している(2012年度)。

1923年に兵庫県立農業試験場で、山田穂を母とし短稈渡船を父として人工交配を行い1936年に山田錦と命名され奨励品種に編入された。その後80年近い長い歴史のなかで、何度も品種改良が試みられ、また他府県で数多くの酒米が開発されたが、酒米としての王座を譲らなかった。

この実績は、酒米としての品質の優良性はもちろんのこと、県、農業団体、酒造組合などで形成されている酒米振興会、灘の酒造家と生産農家とが直結してお互いに研鑽を重ねてきた村米制度の貢献するところが大きい。

山田錦は兵庫県六甲山地の北側が主産地で、8月下旬に出穂し10月中旬に成熟する。長稈で倒伏しやすく、高度の栽培技術と昼夜の温度差が大きく粘土質の土壌等の恵まれた立地条件がなければ、良質の山田錦が生まれない。

山田錦の特長は、粒が大きく色白かつ光沢のある心白米で、外観的にも王座の威厳をもつ。蛋白含量少なく吸水性、消化性よく、破精込みの良いができ、精米その他の工程での崩壊も少なく各工程で操作しやすい。これらの特長は、そのまま優れた酒米の特長でもある。

山田錦を用いて造られた酒は、香味よく、きめの細かいまろやかさをもち、しかもハバのあるいわゆるコクのある酒となる。灘のみならず全国で尊重されている所以となっている。

山田錦

山田錦